日本庭園の石の配置にはこんな意味が!庭造りの業者が解説します
庭造りに凝り始めると、日本庭園の風情に憧れを感じることも多いのではないでしょうか。
でも、「見よう見まねでただ庭園を再現しようとするのも薄っぺらく感じてしまう」と躊躇している方もいらっしゃるかもしれません。
日本庭園の構造に欠かせない石にどんな意味が込められているのかを知れば、自信を持って自分の手で自分の庭を日本庭園に作り変えることができると思います。
そこで今回は、日本庭園の石の配置の意味を解説していきます。
□石の名前と意味
日本庭園に配置されている石の名前と役割をご紹介します。
日本庭園では庭に降りるための縁側や躙口(にじりぐち)から段になるように石が配置されます。
まず、雨天時に履物を収納できるように建物から5〜6センチメートル開けて一つ目の石が置かれます。
この石は履物を脱ぐ場所に使われるため最も大きく、その後ろの石から順に小さくなっていくのが一般的です。
この役割からこの石は沓脱ぎ石(くつぬぎいし)と呼ばれます。
一番石や踏石・一の石ということもあります。
その後から続くのが踏段石、踏み分け石です。
躙口の場合には、特に後者2つの石を落とし石、乗り石という用語が用いられます。
建物とのつなぎの位置に置かれるこれらの石の他に、庭の中に配置される石にも名前があります。
庭に1つだけ独立して配置される石は、景石(けいせき)という名前です。
また、本来道として使うために配置される飛石は園路石の一種です。
土で足が汚れるのを防ぎ、目的地までの道標としても活用されてきました。
現在は装飾としての役割が強いですが、並べ方次第で様々な表情が出る石です。
何のための石かを理解していれば、意味のある配置ができるのではないでしょうか。
□石の配置と表現
石を配置することで、日本人は庭を通じて様々なことを表現してきました。
日本庭園は、自然表現を主にしています。
つまり、庭に雄大な自然を再現することを目指しているのです。
この演出は「見立て」と呼ばれ、山や海・川といった豊かな自然表現があふれています。
そのため、石の配置も多様な自然を再現するために活用されています。
その中でも、石が特に活躍している演出に「枯山水」というものがあります。
枯山水では景石を組み、滝を表現します。
石を並べる時にはどんな景色を自分の庭に再現したいのかを考え、一つ一つの石を並べることで意味が生まれます。
枯山水は、景石と砂利のみで山水を表している庭園様式で、非常に美しく代表的な日本庭園の一つと言えるのではないでしょうか。
□まとめ
今回は日本庭園の石の配置と意味についてご紹介しました。
適当に配置せずに、意味のある配置をしたいと考えている方は、役割のある石のことを理解することがまず大事かもしれません。
そのあとで、自分の庭の中で表現したい自然をしっかりイメージして配置しましょう。
日本庭園の解釈に制限はありませんから、作る人と見る人の中で、石が風景として意味を持つために必要なことはあまり多くはありません。
ぜひ今回の記事を参考に自分の庭の石の配置を工夫してみてはいかがでしょうか。
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